本記事では日本橋 白木屋で実施された 7代目 小清水半蔵の末子 小清水(頂山)健三による木像なた彫
小清水健三展についての推薦者の言葉を掲載いたします。
推せん者
日本詩人クラブ常務理事 安部宙之介
日本時人クラブ評議員 森山隆平
推せんのことば
仏像の彫刻類 は数多くありますが 雄渾 華麗なる点に於てナタ彫りに比すべきものはありません
ナタ彫りは別名荒彫りともいわれておりますが 他に余り類のない独特の技術であります
小清水さんが長年にわたってこの新分野を開拓 創意と工夫を重ね制作に打ち込んでこられた熱意と努力に対し
高い敬意を払うものです
今回その業績が認められ 個展開催の運びとなりましたことは誠にご同慶の至りです これを契機に小清水さんの芸域が一段と高揚し
期道の発展 郷土芸術の向上に大きな貢献をされることを祈念いたします
元郵政大臣 小金義照
自我の顕現に努め 作品を凝視しながらひっそりと生きてきた小清水君
七代続く宮大工の血を受け 木に対する異常な愛着と それ自体が持つ<質> の生かしかたに 勤勃と情熱を傾けてきた
独学の彼が彫る 観音・明士など 飛鳥時代の型と重量感に学び
庶民のささやかな祈求をマッチ ユニークな木彫りの新境地を開いている
顔面には微かなほほ笑みが 哀愁 が怒りがにじんでいて
従来の仏像のような仏くささがなく 単純自明の情感に訴えてくる
近代感覚が内流しているのは注目してよい
仏像という意識上での複雑さを示す 一切の思想を超越した象徴性が
近代人の快苦の複合感覚を柔かく刺激し 陶酔的で明美な感じをもたらすのではなかろうか
彼の今後の未開の領域による研鑽は 静観的な彫りから彼自身の情緒や幻想をうたう 音楽的韻律のある<のみあと>を残していくのではないかと期待している
随筆家 田渕正男
小清水健三との交遊は 短いが浅くない
寡黙で探求心が強い 先人の優秀な遺作品をよく調べ よく学びその心・技はある境地に達している
鉈彫は そこに実在する素材を無造作に捉えているかに見えるが
静かに眼を涼しく眺めるとき 作者の心眼に その形態 木目が美しく映じた場合 制作は始められているのが理解される
小清水健三は鉈を自在に荒々しく振い 仏の百態を彫りあげたが
東洋人の独特な素朴さを、一点どこかに生かしていて
親しみ深いものにしている 面白い
この鉈彫展は観る者の心眼をより清らかに洗うことを私は信じているゆえ 今回の公開は価値あるものと思っている
作家 帆田春樹
大雄山最乗寺は 神奈川県小田原市外南足柄町関本にあって曹洞宗に属し
その流れを汲む門末四千余ヵ寺に及び
両大本山永平寺 総持寺に次ぐ宗門の巨刹であり 又霊験顕著なる
道了大薩埵鎮護の霊場として知られております
境内山林合せて百十余町歩には、老杉古松 着として生い茂り
昼尚暗く 霊気満山に張り 真に天下希有の盛山
関東無双の霊境であります
この度 小清水健三氏が当山の古木を用い
なた彫り観音像を謹刻して その作品を発表せらる
けだし世道人心の浄化に貢献すること少なからずと信じます
大薩埵鎮護の霊場 大雄山最乗寺
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